年を重ねるにつれて "unknow" こそ、喜びとなってくるのがわかります。私が好きな、スパイス、ハーブ、香り、そして旅。スパイスは調合や炒り方、そして他のものとの組み合わせで今までない経験をさせてくれます。ハーブも同じ。香りは、ボトルを開けた時にどんな物語が詰まっているのか・・その瞬間のワクワクする気持ちといったら。旅は、知らない土地や文化だけでなく、私自身について知らなかったことを最も教えてくれます。
今は、1年後自分が何をしているか分からない、それが嬉しいと思えますが、10代の頃はunknowが恐れであったから、どうにかしてunknowをknownに変えようとして悩み試行錯誤する時期だったように思えます。ダンサーになりたくて、初めての海外・オーストラリアの高校(パフォーミングアートで有名だった公立高校)へ渡った時も、それはある種、将来に対する確信を得たいという気持ちがあったから。
20代後半、社会人になり仕事をし始めて数年経った時は、銀行預金のほとんどを旅に費やしました。一人暮らし、社会人5年未満。バックパックまたは簡易スーツケースで旅をしました。決して裕福ではなかったけれど、今確信を持って言えるのは「それで良かった」ということ。
あの頃使ったお金は、何があっても消えることのない感謝や人のぬくもりに対する心の感度、そして未知と向き合う強い自信をくれました。世界の中で生きる、日本人としてのアイデンティティーもそこから芽生えました。
あの時のお金が今全て口座内にあったとしても、そのお金でそれらは決して購入できない。私はそれらの無形財産を資本にして、お金を創り出していくほうが幸せです。
何度旅をしても、旅を始める前は未知に対する恐れと小さな葛藤があります。そして、それらをこれからも感じられる私でいたい。勇気は真の優しさの真隣にあるものだと、未知に向かい合った時に感じるのです。
ちなみに、yogaも旅にそっくりだなと思います。日々、自分の中に自分の今まで知らなかった自分を見つける。そして時に恐れに向かい合い、勇気をもって乗り越える。そしてそれが、次なる未知のステージへと繋がってゆく。
旅をしなくても、人生における大事なことや自分について学べることは沢山あります。でも、行かなければ知ることのできないこと、感じることのできないことがあるということは確かです。神様が人間に飛行機を発明させてくださったのは、それを知って欲しいからだったと信じたい。今日は、昔は簡単にできなかったことが有難いことに簡単に出来てしまう。それを贅沢だと否定することなく、むしろその幸運に対する感謝を常に忘れずに旅をし続けたいし、若い人にも沢山一人旅をして欲しい。豊かな人生経験が表情や言葉に深く味わいを与えるような、それがその人の美しさとなるような、そんな生き方ができたら、皆で今よりももっと幸せな社会を創造できると思うのです。
昨日、何となく日本にいる双子の妹にメールをしたら、明日から旅に行きますと言うことでした。インド、ネパールへ発つということで。いつか、私たちの旅路が交わって何か一緒に創り出せたらいいな、そう思います。
Bon voyage.